白内障手術の費用は、単焦点レンズなら健康保険が適用され3割負担で片眼およそ4.5万円前後、多焦点レンズは選定療養でレンズ差額が自費になります。高額療養費制度と医療費控除で負担を抑えられ、名医は順位でなく手術件数・眼科専門医・合併症対応の3つの軸で選ぶのが現実的です(2026年7月時点)。
この記事でわかること
- 白内障手術の費用はレンズの種類(単焦点=保険/多焦点=選定療養・自由診療)で大きく変わる
- 単焦点は3割負担で片眼およそ4.5万円前後、多焦点は選定療養でレンズ差額が上乗せ
- 高額療養費は「月ごと」計算=両眼を月またぎにすると限度額が2回発生して割高になりやすい
- 名医は順位でなく手術件数・眼科専門医・合併症(硝子体)対応の3軸で選ぶ
- 入院できる病院と日帰りクリニックは全身の状態・合併症リスク・多焦点希望で向き不向きが分かれる
公的情報源: 厚生労働省「高額療養費制度」(参照)/厚生労働省「保険外併用療養費(選定療養)」(参照)/国税庁 タックスアンサー No.1122「医療費控除の対象となる医療費」Q3「眼科医に支払う治療費等」(参照・令和7年4月1日現在法令等)/公益財団法人 日本眼科学会(参照)
白内障手術の費用はいくら?レンズの種類と保険適用で決まる
白内障手術の費用とは、「保険が適用される手術代」と「選ぶレンズによって変わる自費分」を合わせた総額のことです。まずここを分けて考えると、金額のブレに惑わされません。
白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズ(IOL)を入れ替える治療です。手術の手技そのものは健康保険の対象なので、費用を左右する最大の要素は「どのレンズを選ぶか」になります。
レンズは大きく3つに分かれます。それぞれで保険の扱いが変わり、総額が段階的に上がっていきます。
- 単焦点レンズ:健康保険が適用され、自己負担割合どおりの費用で済む
- 多焦点レンズ(選定療養):手術は保険、レンズ差額のみ自費(2020年4月開始の制度)
- 多焦点レンズ(自由診療):選定療養の対象外レンズは手術も含め全額自費
多焦点レンズ(遠近など複数の距離に焦点が合うレンズ)を使う場合でも、選定療養か自由診療かで費用の跳ね方がまったく違います。ここを混同すると、見積もりの桁を読み違えます。

白内障手術 費用の全体像(自己負担割合・レンズ別の目安)
以下は各医療機関の公表情報をもとにした2026年7月時点の目安です。金額はレンズの種類・手術方法・医療機関で変動するため、最終的には受診先の見積もりで確認してください。
| レンズ/保険区分 | 保険の扱い | 片眼の自己負担の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 単焦点(3割負担) | 保険適用 | 約4.5万円前後 | 遠くか近くの片方にピント |
| 単焦点(1割負担) | 保険適用 | 約1.5万円前後 | 高齢者は負担が軽い |
| 多焦点(選定療養) | 手術=保険/レンズ差額=自費 | 手術分+レンズ差額 十数万〜数十万円 | 眼鏡依存を減らしたい人向け |
| 多焦点(自由診療) | 全額自費 | 両眼で数十万〜100万円超も | 選定療養対象外の高機能レンズ |
※上記は各院公式の公表情報をもとにした2026年7月時点の目安で、レンズ種類・乱視の有無・医療機関で変わります。正確な金額は受診先でご確認ください。
同じ「白内障手術」でも、単焦点の保険診療なら数万円、自由診療の多焦点なら両眼で百万円近くになることもあります。まず「どのレンズを選ぶか」を決めることが、費用を見通す出発点です。
保険適用と選定療養の違い|自己負担の目安(3割・1割)
先に結論です。単焦点レンズは全額が保険診療、多焦点レンズは「手術は保険・レンズ差額は自費」の選定療養になり、この差額がそのまま費用差になります。

単焦点レンズ(保険適用)の費用
単焦点レンズは健康保険が適用されます。3割負担なら片眼およそ4.5万円前後、1割負担なら片眼およそ1.5万円前後が手術代の目安です(各院公式・2026年7月時点)。両眼を受ける場合は、単純にはこの倍が基準になります。
検査代・薬代・術後の通院費は別にかかります。とはいえ、総額は数万円台に収まることが多く、後述の高額療養費制度でさらに抑えられます。
多焦点レンズ(選定療養)の費用
選定療養とは、厚生労働省が定める保険外併用療養費の仕組みです(参照:厚生労働省 保険外併用療養費)。多焦点眼内レンズの白内障手術では、手術は保険、単焦点との差額(レンズ代)だけを自費で払います。
差額はレンズの種類で幅があり、片眼で十数万円から数十万円が目安です。3割負担の例では、手術分とレンズ差額を合わせて片眼およそ40万円という公表例もあります(各院公式・2026年7月時点)。
自由診療の多焦点レンズは全額自費
多焦点でも、選定療養の対象外レンズを選ぶと手術を含めて全額自費になります。両眼で数十万円から100万円を超えることもあります。多焦点レンズそのものの費用の違いは、ICLの評判で選ぶクリニック比較とあわせて、費用面の考え方として参考にできます。
「多焦点=高い」ではなく、選定療養か自由診療かで費用の桁が変わる点をまず押さえてください。
白内障手術の費用を抑える|高額療養費制度と医療費控除
先に結論です。保険が効く費用は高額療養費制度で「月ごと」に上限が決まり、白内障の治療として行う手術は医療費控除の対象になります。ただし自費のレンズ差額まで全額が対象になるとは限りません。この2つで負担を下げられます。
高額療養費制度は「月ごと」に上限が決まる
高額療養費制度とは、1か月(1日〜末日)の医療費の自己負担が、年齢や所得で決まる上限額を超えたら、超えた分が払い戻される仕組みです(参照:厚生労働省 高額療養費制度)。
上限額の目安は所得区分で変わります。69歳以下で年収約370万〜約770万円の区分では、月の上限は80,100円+(総医療費−267,000円)×1%です。
70歳以上の一般所得の方は、外来を含めた月の上限が18,000円(年間上限144,000円)とされています(厚生労働省・2026年7月時点)。所得区分で金額が変わるため、自分の区分は保険者に確認しておくと安心です。
ここで見落としやすいのが「月ごと計算」という落とし穴です。両眼を別々の月に手術すると、上限額が2か月分(=2回)かかり、同じ月にまとめた場合より割高になることがあります。

医療費控除は治療目的の費用が対象
白内障の治療として行う手術は「医師または歯科医師による診療または治療の対価」にあたるため、医療費控除の対象になります(参照:国税庁 タックスアンサー No.1122「医療費控除の対象となる医療費」・令和7年4月1日現在法令等)。
ただし自費のレンズ差額まで全額が対象になるとは限りません。所得税法施行令第207条が、対象を「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」に限っているためです。1年間(1〜12月)の医療費が原則10万円を超えた分が所得控除になります。差額の扱いは最寄りの税務署にご確認ください。
高額療養費で払い戻された分は差し引いて計算します。「高額療養費で月の窓口負担を抑え、医療費控除で年間の税負担を抑える」という二段構えで考えると、実質負担が見えてきます。
白内障手術は日帰り?入院できる病院との違い
先に結論です。白内障手術は日帰りが主流ですが、全身疾患がある方や合併症リスクが高い方は、入院できる病院のほうが安心なケースがあります。
日帰り手術が主流になっている理由
白内障手術は片眼あたり10〜20分程度で、局所麻酔で行うのが一般的です。多くのクリニックが日帰りで対応しており、手術当日に帰宅できます。通院の負担が少なく、費用面でも入院代がかからない利点があります。
一方で、術後は感染予防のため点眼や生活の制限があります。翌日・数日後の検診が必要なので、通いやすさも病院選びの条件になります。
入院できる病院が向くケース
次のような方は、入院設備のある総合病院・専門病院を検討する価値があります。
- 糖尿病・高血圧など全身疾患があり、術中・術後の管理に注意が要る
- 過去の眼の手術歴や、水晶体・網膜の状態から合併症リスクが高いと説明された
- 遠方で当日の往復が負担、または独居で術後の見守りが難しい
入院を伴う場合、費用は日帰りより上がりますが、高額療養費制度は入院・日帰りを問わず月ごとの上限が適用されます。入院代(食事・差額ベッド等)は制度の対象外なので、その分は別に見込んでおきます。
白内障手術の名医・病院の選び方|順位でなく判断軸で選ぶ
先に結論です。「近くの白内障手術の名医」を探すときは、ランキングの順位ではなく「手術件数・眼科専門医・合併症対応」の3つの判断軸で見るのが現実的です。
「白内障専門医」という国家資格は存在しません。目安になるのは、公益財団法人 日本眼科学会が認定する眼科専門医です(参照:日本眼科学会)。まずここを押さえます。
名医を判断する3つの軸
- 手術件数・経験:年間の手術件数が多い医師ほど、術中の想定外にも対応しやすいとされる。院や医師の公表実績を確認する
- 眼科専門医の有無:日本眼科学会の眼科専門医であることは、標準的な教育・経験の一つの目安になる
- 合併症・硝子体手術への対応:万一の合併症時に、同じ院で硝子体手術など高度な対応ができると安心材料になる
順位サイトの「おすすめ名医◯選」は、評価基準や広告の影響を受けます。順位をうのみにせず、この3軸で自分が受ける医師・院を確認する方が確実です。
病院タイプで選び方が変わる
白内障手術を受けられる医療機関は、大きく3タイプに分かれます。自分の状態に合うタイプから探すと、候補を絞りやすくなります。

- 日帰り特化クリニック:件数が多く、多焦点レンズや最新機器を打ち出す院も。日帰りで完結したい人向き
- 入院できる総合・専門病院:全身疾患や合併症リスクがある人向き。術後の管理体制が手厚い
- 大学病院:難症例・重い合併症の対応や、他科との連携が必要な人向き
術前カウンセリングの現場でも、「有名だから」より「自分の目の状態と生活に合うか」で選んだ方が納得度が高い傾向がありました。最終的な適応判断は、必ず眼科医の診察を受けてから決めてください。
よくある質問(FAQ)
Q1:白内障手術の費用は片眼でいくらですか?
単焦点レンズで健康保険が適用される場合、3割負担で片眼およそ4.5万円前後、1割負担で片眼およそ1.5万円前後が手術代の目安です(各院公式・2026年7月時点)。多焦点レンズを選ぶと選定療養や自由診療になり、レンズ差額が上乗せされます。検査・薬・通院費は別にかかるため、正確な金額は受診先の見積もりで確認してください。
Q2:白内障手術に高額療養費制度は使えますか?
はい、保険が適用される手術は高額療養費制度の対象です。1か月の自己負担が所得区分ごとの上限を超えた分が払い戻されます(厚生労働省・2026年7月時点)。ただし月ごとの計算なので、両眼を別々の月に受けると上限が2回かかることがあります。同じ月にまとめると負担を抑えやすくなります。多焦点レンズの自費差額は制度の対象外です。
Q3:多焦点レンズの費用はなぜ高いのですか?
多焦点レンズは、遠近など複数の距離にピントを合わせる高機能レンズで、単焦点との差額が自費になるためです。選定療養なら手術は保険・レンズ差額のみ自費で、片眼で十数万〜数十万円が目安です。選定療養の対象外レンズ(自由診療)を選ぶと手術も含め全額自費となり、両眼で数十万〜100万円超になることもあります(各院公式・2026年7月時点)。
Q4:白内障手術は日帰りと入院どちらがいいですか?
多くの医療機関で日帰り手術が主流です。全身疾患がある方、合併症リスクが高いと説明された方、術後の見守りが難しい方は、入院できる病院のほうが安心なケースがあります。高額療養費制度は入院・日帰りを問わず月ごとの上限が適用されますが、入院の食事代や差額ベッド代は制度の対象外です。どちらが適しているかは主治医と相談して決めます。
Q5:白内障手術の名医はどう探せばいいですか?
「白内障専門医」という資格はないため、手術件数・眼科専門医(日本眼科学会認定)・合併症/硝子体手術への対応の3軸で見るのが現実的です。順位サイトの「おすすめ名医◯選」は評価基準や広告の影響を受けるので、順位より自分が受ける医師・院の公表実績と対応体制を確認します。日帰り特化クリニック・入院できる病院・大学病院のうち、自分の状態に合うタイプから探すと絞りやすくなります。
まとめ|費用は「レンズ選択」、病院は「判断軸」で決める
- 白内障手術の費用はレンズの種類(単焦点=保険/多焦点=選定療養・自由診療)で決まる
- 単焦点は3割負担で片眼およそ4.5万円前後、多焦点は選定療養でレンズ差額が上乗せ
- 高額療養費は「月ごと」計算=両眼は同じ月にまとめると負担を抑えやすい
- 手術自体は医療費控除の対象(レンズ差額の扱いは税務署で要確認)。高額療養費との二段構えで実質負担を下げる
- 名医・病院は順位でなく手術件数・眼科専門医・合併症対応+病院タイプで選ぶ
白内障手術の費用は、まず「どのレンズを選ぶか」で桁が決まります。単焦点の保険診療なら数万円台、選定療養の多焦点はレンズ差額が上乗せ、自由診療の多焦点は全額自費です。ここを分けて考えれば、見積もりの金額に驚かずに済みます。
そのうえで、高額療養費制度で月の窓口負担を、医療費控除で年間の税負担を抑えます。病院は「近くの名医ランキング」ではなく、手術件数・眼科専門医・合併症対応の3軸と、日帰り/入院/大学病院という自分に合うタイプで選ぶ。最終的な適応判断は、必ず眼科医の診察を受けたうえで決めてください。
免責事項
※本記事は一般的な情報を整理した参考情報であり、診断・治療方針の判断は必ず眼科医にご相談ください。記載の費用・制度は2026年7月時点の公開情報を参考にしており、金額はレンズの種類・医療機関・保険区分で変動します。高額療養費制度・選定療養・医療費控除の適用は個々の状況によるため、最新の要件は厚生労働省・国税庁・加入する保険者の公式情報および受診先の医療機関でご確認ください。
参考・出典
- 厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ
- 厚生労働省 保険外併用療養費(選定療養・評価療養)
- 国税庁 タックスアンサー No.1122 医療費控除の対象となる医療費
- 公益財団法人 日本眼科学会(一般の皆様へ)

