多焦点眼内レンズの費用|選定療養と自由診療の違い・相場を眼科ライターが整理

多焦点眼内レンズの費用は、選定療養なら片眼およそ20〜40万円、自由診療なら片眼80〜160万円が目安です。同じレンズでも承認レンズか未承認レンズかで費用区分が変わり、自己負担額は数倍違います(2026年7月時点)。

この記事でわかること

  • 多焦点眼内レンズの費用は単焦点(保険)・選定療養・自由診療の3区分で大きく変わる
  • 選定療養は手術・検査は保険適用、レンズ差額のみ自費で片眼およそ20〜40万円が目安
  • 自由診療は検査からレンズまで全額自費で片眼80〜160万円と幅が大きい
  • 費用差は「承認レンズ=選定療養/未承認レンズ=自由診療」で生まれる
  • 高額療養費は保険部分のみ対象・レンズ差額は対象外。医療費控除は手術自体が対象で、レンズ差額の扱いは税務署で要確認

公的情報源: 日本白内障屈折矯正手術学会「多焦点眼内レンズ情報(費用)」(参照)/厚生労働省「保険外併用療養費(選定療養)」(参照)/国税庁 タックスアンサー No.1122「医療費控除の対象となる医療費」Q3「眼科医に支払う治療費等」(参照・令和7年4月1日現在法令等)

目次

多焦点眼内レンズの費用はいくら?まず全体像を押さえる

多焦点眼内レンズとは、遠くと近くなど複数の距離にピントが合う白内障手術用のレンズです。

先に結論です。多焦点眼内レンズの費用は、「単焦点(保険)・選定療養・自由診療」の3区分で決まり、自己負担額は数万円から100万円超まで大きく開きます。

「多焦点にすると高い」と一括りにされがちですが、実際は選ぶレンズと制度で費用帯が変わります。まずは3つの区分の位置づけを押さえます。

金額の目安は次のとおりです(各院公表・2026年7月時点)。

  • 単焦点レンズ(保険適用):片眼およそ1.5万〜6万円(自己負担割合による)
  • 多焦点レンズ・選定療養:片眼およそ20万〜40万円(レンズ差額が自費)
  • 多焦点レンズ・自由診療:片眼およそ80万〜160万円(全額自費)

同じ「多焦点」でも、選定療養と自由診療では費用が数倍違います。この差がどこから生まれるのかを、次の章から順に見ていきます。

3区分の位置づけ(レンズ×費用区分)

白内障手術のレンズと費用区分は、単焦点が保険適用で片眼約1.5万〜6万円、多焦点の選定療養が片眼約20万〜40万円、多焦点の自由診療が片眼約80万〜160万円に分かれる。
図:多焦点眼内レンズの費用は単焦点(保険)・選定療養・自由診療の3区分で決まる(各院公表・2026年7月時点)

なお多焦点眼内レンズは、老眼治療の選択肢の一つとしても検討されます。近視・老眼の治療法全体を比べたい方は、老眼治療の選択肢の比較もあわせてご覧ください。

選定療養と自由診療で費用が変わる|区分ごとの相場

先に結論です。多焦点眼内レンズの費用の分かれ目は、「厚生労働省が承認したレンズを使う選定療養か、未承認レンズも選べる自由診療か」です。

多焦点眼内レンズを使う白内障手術は、令和2年(2020年)4月から選定療養の対象になりました(厚生労働省・保険外併用療養費/2026年7月時点)。この制度が費用区分を分けています。

選定療養とは(費用の目安)

選定療養とは、保険診療に追加費用を上乗せして、保険適用外のレンズを併せて使える仕組みです。手術の技術料・検査・薬は保険適用で受けられ、多焦点レンズの差額と追加検査だけが自費になります。

費用の目安は、2焦点レンズで片眼およそ20万〜30万円、3焦点レンズで片眼およそ30万〜40万円です(日本白内障屈折矯正手術学会・各院公表/2026年7月時点)。

自由診療とは(費用の目安)

自由診療は、国内未承認のレンズも選べる代わりに、検査から手術・レンズまですべて全額自費になり、保険との併用はできません。費用は片眼およそ80万〜160万円と、選定療養より大きく上がります(各院公表/2026年7月時点)。

選定療養と自由診療の比較

選定療養は承認レンズを使い手術・検査は保険適用で片眼約20万〜40万円、自由診療は未承認レンズも選べるが全額自費で片眼約80万〜160万円。
図:選定療養と自由診療の違い。承認レンズか未承認レンズかで費用が数倍変わる(2026年7月時点)
区分 使えるレンズ 保険の扱い 費用の目安(片眼)
選定療養 国内承認済みの多焦点レンズ 手術・検査は保険+レンズ差額は自費 約20万〜40万円
自由診療 国内未承認レンズも選択可 全額自費(保険併用不可) 約80万〜160万円

表のとおり、費用差の正体は「どのレンズを使えるか」です。承認レンズで足りるなら選定療養、承認外の最新レンズを希望するなら自由診療、という関係になります。どちらが適するかは目の状態と希望によるため、費用だけで決めず適応検査で相談するのが現実的です。

選定療養の費用の「内訳」|保険が使う部分と自費の部分

先に結論です。選定療養の費用は、「保険が使える部分」と「全額自費のレンズ差額」を分けて見ると、何にいくら払うのかが分かります。

多くの費用ページは総額しか書きません。ただ現場で術前説明をしていると、「保険が効くはずなのになぜ数十万円かかるのか」という質問がとても多く寄せられました。理由は、レンズの差額部分だけが自費だからです。

選定療養で保険が使う部分・自費の部分

選定療養では手術技術料・検査・薬が保険適用で1〜3割負担、多焦点レンズの差額と追加検査だけが全額自費(2焦点約20万〜30万円・3焦点約30万〜40万円)。
図:選定療養の費用の内訳。保険が使う部分と全額自費のレンズ差額を分けて見る(2026年7月時点)
  • 保険が使える部分:手術の技術料/術前・術後の検査/点眼薬。自己負担割合(1〜3割)に応じて負担します
  • 全額自費の部分:多焦点レンズ本体の差額/レンズ選定のための追加検査。ここが片眼20万〜40万円の中心です

この構造を知っておくと、見積もりを見たときに「保険部分」と「レンズ差額」を切り分けて確認できます。総額だけを他院と比べるのではなく、レンズ差額がいくらか、追加検査費が含まれるかを見ると、費用の比較が正確になります。

単焦点レンズとの費用差|差額はいくらか

先に結論です。単焦点レンズは保険適用で片眼およそ1.5万〜6万円のため、多焦点との差額は選定療養で十数万〜30万円台、自由診療で70万〜150万円規模になります。

単焦点レンズは遠くか近くのどちらかにピントを合わせるレンズで、検査・手術・レンズ代まですべて保険適用です。通常の手術費用の総額はおよそ20万円で、自己負担は次のようになります(先進会眼科ほか各院公表/2026年7月時点)。

  • 3割負担(70歳未満など):片眼およそ6万円
  • 2割負担(70〜75歳未満・現役並み所得を除く):片眼およそ4万円
  • 1割負担(75歳以上・現役並み所得を除く):片眼およそ1.5万〜2万円

多焦点にするかどうかは、費用差に見合う「眼鏡に頼らない生活の便利さ」を求めるかで判断します。夜間の光のにじみ(ハロー・グレア)の感じ方にも個人差があるため、費用と見え方の両面を適応検査で確認してから決めるのが安心です。

費用負担を軽くする制度|高額療養費・医療費控除・生命保険

先に結論です。多焦点眼内レンズの費用は、高額療養費(保険部分のみ)・医療費控除・生命保険の手術給付金で一部やわらげられる場合があります。

ただし制度ごとに対象範囲が違うため、誤解しやすい点を整理します。

高額療養費制度(対象は保険部分のみ)

高額療養費制度は、ひと月の保険診療の自己負担が上限を超えた分が払い戻される仕組みです。選定療養でも、保険適用の手術・検査部分は対象になりますが、多焦点レンズの差額は保険外のため対象外です(厚生労働省/2026年7月時点)。自由診療は全額自費のため、そもそも対象になりません。

医療費控除(対象になり得る)

白内障の治療として行う手術は「医師または歯科医師による診療または治療の対価」にあたるため、医療費控除の対象になります(国税庁 タックスアンサー No.1122「医療費控除の対象となる医療費」の1・令和7年4月1日現在法令等)。

ただし多焦点レンズの差額や自由診療分まで全額が対象になるとは限りません。所得税法施行令第207条は、対象を「その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」に限ると定めているためです。国税庁が多焦点眼内レンズを名指しした公表資料はありません。差額の扱いは最寄りの税務署にご確認ください。

生命保険の手術給付金(約款次第)

加入している医療保険・生命保険によっては、白内障手術が手術給付金の対象になることがあります。ただし給付の可否や金額は約款によって異なるため、契約中の保険会社に事前確認してください。選定療養・自由診療で扱いが変わる場合もあります。

費用を左右する要素|2焦点/3焦点・乱視・クリニック差

先に結論です。同じ多焦点でも、レンズの種類・乱視矯正の有無・入院か日帰りか・クリニックで費用は変わります。

費用が変わる主な要素

多焦点眼内レンズの費用は、レンズを選び、費用区分(保険・選定療養・自由診療)が決まり、焦点数や乱視矯正の有無で自己負担額が決まる3ステップで決まる。
図:多焦点眼内レンズの費用の決まり方。レンズ選択→費用区分→自己負担額の順に決まる
  • レンズの焦点数:2焦点より3焦点・連続焦点(EDOF)タイプの方が高くなる傾向
  • 乱視矯正の有無:乱視矯正機能付きレンズは差額が上乗せされることが多い
  • 承認レンズか未承認レンズか:選定療養か自由診療かで費用帯が数倍変わる
  • 入院か日帰りか:入院を伴う場合は入院費・差額ベッド代・食事代が加わる
  • クリニックの価格設定:同じ選定療養でもレンズ差額の設定は院ごとに異なる

費用は「レンズ本体の差額」を中心に積み上がります。総額だけでなく、含まれる検査・術後の通院回数・保証の有無まで含めて確認すると、比較がぶれません。クリニックごとの費用や体制の見方は、評判・公表データでクリニックを比較する手順も参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q1:多焦点眼内レンズの費用は片眼でいくらですか?

選定療養なら片眼およそ20万〜40万円(2焦点20万〜30万円・3焦点30万〜40万円)、自由診療なら片眼およそ80万〜160万円が目安です(各院公表・2026年7月時点)。同じ多焦点でも承認レンズを使う選定療養か、未承認レンズも選べる自由診療かで費用が数倍変わります。正確な金額は各クリニックの公式情報でご確認ください。

Q2:多焦点眼内レンズは保険適用されますか?

多焦点レンズそのものの代金(差額)は保険適用外です。ただし選定療養では、手術の技術料・検査・薬は保険適用で、自費になるのはレンズ差額と追加検査だけです。自由診療は検査からレンズまで全額自費で、保険との併用はできません(厚生労働省・保険外併用療養費/2026年7月時点)。

Q3:選定療養と自由診療は何が違うのですか?

使えるレンズと保険の扱いが違います。選定療養は国内承認済みのレンズを使い、手術・検査は保険適用(片眼約20万〜40万円)。自由診療は国内未承認レンズも選べる代わりに全額自費(片眼約80万〜160万円)です。費用差は「どのレンズを使えるか」で生まれます。

Q4:多焦点眼内レンズの費用は高額療養費の対象になりますか?

選定療養の場合、保険適用となる手術・検査部分は高額療養費の対象ですが、多焦点レンズの差額は保険外のため対象外です。自由診療は全額自費のため対象になりません(厚生労働省/2026年7月時点)。一方、医療費控除は手術自体が対象です(国税庁 No.1122)。ただし差額や自由診療費まで全額が対象になるとは限らず、施行令が「一般的に支出される水準を著しく超えない部分」に限っているため、税務署での確認が要ります。

Q5:単焦点レンズと比べて費用はどれくらい高くなりますか?

単焦点レンズは保険適用で片眼およそ1.5万〜6万円(自己負担割合による)です。多焦点との差額は、選定療養で十数万〜30万円台、自由診療で70万〜150万円規模になります。費用差に見合う「眼鏡に頼らない生活」を求めるかどうかが判断の軸です。見え方には個人差があるため適応検査で相談してください。

まとめ|費用は「レンズ×制度」で決まる

この記事の要点

  • 多焦点眼内レンズの費用は単焦点(保険)・選定療養・自由診療の3区分で決まる
  • 選定療養は手術・検査は保険+レンズ差額のみ自費で片眼約20万〜40万円
  • 自由診療は全額自費で片眼約80万〜160万円と幅が大きい
  • 費用差は承認レンズ(選定療養)か未承認レンズ(自由診療)かで生まれる
  • 高額療養費は保険部分のみ・医療費控除は対象になり得る・生命保険は約款次第

多焦点眼内レンズの費用は、レンズの種類と費用区分(保険・選定療養・自由診療)の掛け合わせで決まります。総額の数字だけを比べるより、レンズ差額・含まれる検査・使える制度を分けて確認すると、見積もりを正確に読めます。

まずは自分の目に多焦点が適するかを適応検査で確認し、選定療養で足りるのか自由診療が必要なのかを主治医と相談する。この順番が、費用と見え方の両方で後悔しにくい進め方です。手術やレンズの最終的な適応判断は、必ず眼科医の診察・適応検査を受けたうえで決めてください。

免責事項

※本記事は一般的な情報を整理した参考情報であり、診断・治療方針の判断は必ず眼科医にご相談ください。記載の費用・制度は2026年7月時点の公開情報を参考にしており、最新の金額・適用条件は各クリニック公式サイトおよび公的機関でご確認ください。多焦点眼内レンズの費用・見え方・術後経過には個人差があります。

参考・出典

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この記事を書いた人

眼科クリニックの受付として6年、レーシックやICLの術前カウンセリングを支え、300件を超える手術患者さんと術前から術後まで接してきたIkedaです。「費用の見通しが立たない」「レーシックとICLの違いが分からない」「術後のリスクが怖い」。窓口では、こうした声を毎日のように聞いてきました。

私自身もコンタクト歴が15年あり、ICLを検討して適応検査を受け、費用やリスク、手術後の暮らしの変化を一から調べたことがあります。受付として患者さんの疑問を間近で見てきた経験と、検討者として自分で調べた経験の両方があるからこそ書けることがあると思っています。

当サイトでは、レーシックとICLの違いや費用の相場、クリニック選びの判断軸を、公的な情報と現場での経験から整理しています。手術を受けるかどうかの最終判断は、必ず眼科医の診察と適応検査を受けたうえで決めてください。

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